Perfume史上最大規模の全国アリーナツアー「Perfume 10th Tour ZOZ5 "ネビュラロマンス" Episode 1」11都市23公演が無事終了しました。
ニューアルバム「ネビュラロマンス前篇」を引っ提げつつ、結成25周年・メジャーデビュー20周年を記念し、アニバーサリーライブとしての側面も持ったこのツアーの内容は内容の充実度が半端ではありませんでした。
ネビュラロマンスの世界観を余すことなく魅せるライブ前半を"Side A"、そしてPerfumeの煩悩の数だけ楽曲を用意したライブ後半の"Side B"と、これまでにないライブフォーマット。
しかも後半8曲の"Side B"はセットリストが毎公演異なるというとんでもないツアーで、23公演で同じセットリストの日は一度もありませんでした。
セットリストが異なるということは、「この曲終わったら次はここに移動しての曲をやる」というように、日によって立ち位置が変わります。
ここら辺の、楽曲によって立ち位置をどう決めてるかの詳しい様子は、「Perfume Anniversary 10days 2015 "PPPPPPPPPP" LIVE 3:5:6:9」や「Perfume 6th Tour 2016 "COSMIC EXPLORER" Standing Edition」のライブ映像の「3:5:6:9コーナー」で学ぶことが出来ます。
しかも今回のライブは、エンドステージから3方向に延びる出島や、回転するステージセットも活用し、曲間曲中での移動も頻繁にありました。
さらにその移動パターンも、同じ曲でも、ある日はエンドステージでやったり、またある日は3人が出島に散ってったり等、同じ曲なのにその日の位置や前後の曲の関係で、公演ごとにフォーメーションが全く異なるという、3:5:6:9コーナーと比ではない、超人的な試みでした。
曲をノンストップで続けるDJ的な繋ぎも多く生み出され、特にチョコレイト・ディスコ→ワンルーム・ディスコは"Side B"を象徴するナンバーだったと思います。
この記事では、そんな超人的試みの"Side B"から、ライブ定番曲である「チョコレイト・ディスコ」をピックアップし、回転するステージセットの使い方が日ごとに異なっていた点や、前後曲の関係で変化する3人の移動先、ヘッドセットorハンドマイクなどの違いを解説していきたいと思います。
チョコレイト・ディスコからワンルーム・ディスコに繋ぐか否かも、実はチョコレイト・ディスコの早い段階でわかったり、楽曲のバージョンやステージセットの回転タイミングによって判別することが出来たりします。
そこら辺についてもお話していきます。
私はツアーも後半の方になると、チョコレイト・ディスコ開始0秒で「あ、今日はワンルーム・ディスコやらないな」みたいなのに気付いてました。
※筆者は佐賀公演には参戦していないので、その点の差分についてはお話することが出来ません。また細かい点は一部事実と異なるものが含まれる可能性があります。
【目次】
【前提知識】ライブで披露されるチョコレイト・ディスコのバージョンについて
まず、ライブで披露されるチョコレイト・ディスコですが、楽曲のバージョンが3つほどございます。
①オリジナル
アルバム”GAME”やベストアルバム”P Cubed”に収録されている、オーソドックスなチョコレイト・ディスコです。
2012年くらいまでライブで使われていたバージョンで、現在ライブで披露されることはまずありません。
②2012-Mixベース(イントロ・アウトロはオリジナル)
2012年末以降、ライブで披露されるチョコレイト・ディスコはこちらに置き換わりました。
海外進出用のGlobal Compilationアルバム"LOVE THE WORLD"に収録されたリミックスバージョンをベースにしており、1番終わりのチョチョッチョチョッチョチョッが特徴的ですね。
ただし、2012-Mix特有の長いイントロ・アウトロはオリジナルサイズと同じ長さに短縮されています。
公式YouTubeに上がっている「〜お願い 想いが届くといいな〜Ver.」がこれにあたります。
③2012-Mixベース(アウトロのみオリジナル)
2023年の「FM802 REQUESTAGE」で突如現れたニューバージョンです。
2012-Mixの長いイントロをそのまま活かして、「チョコレイト?」「\ディスコ‼/」の煽りで声出しをした後そのまま楽曲に入る画期的なバージョンです。
2023年以降度々登場しています。
原曲なんて20年近く前の曲なのに、まだライブで新アレンジが出てくる引き出しの多さと柔軟性に脱帽です。
今ツアー"ネビュラロマンス Episode 1"では、上記の②③の両方が使われており、規則性は無いですが、日によって出てくるバージョンが違います。
実はこの②③のどちらが来るかで、その後ワンルーム・ディスコを繋ぐか否かが分かるんですね。
では、早速フォーメーションの話に入っていきましょう。主要なフォーメーションパターンは2つに分けることが出来ます。
主要なフォーメーションパターンについて
A:セット転換パターン
〈対象公演:横浜1,2,3, 佐賀1?、大阪1、愛知2、北海道1、千葉1〉
使用する曲のバージョンは③2012-Mixベース(アウトロのみオリジナル)です。
というかこのバージョンが来た時点で、この日ワンルーム・ディスコはやらないという傾向が出ています。まずはこのチョコレイト・ディスコ単独の場合の立ち位置・フォーメーションについてまとめていきます。
曲が始まるときの3人の立ち位置は、あ~ちゃんがセンターに立ちます。\ディスコ‼/の煽りをするためです。
次にステージにセットです。
ネビュラロマンス Episode 1のチョコレイト・ディスコの肝は、何と言っても転換したステージセットで披露することです。
"Morning Cruising"で使用した3つの小部屋に登って3人が分かれて披露していました。
1番サビからセットが回転し、1番間奏で登壇して披露した後、ラスサビで下山します。
ステージセットを回転する準備として、1番の途中で3人が一旦花道寄りに降りるタイミングがあります。
ここの移動も1番2回目の「期待してる 男の子」の「してる」のステップに合わせて降りることで、スムーズな移動となっていました。
でも、多分このタイミングでの移動はツアー中盤からで、それまでは僅かに別のタイミングだったような気もしています。これもツアーが進むにつれてのアップデートのひとつかもしれないです。曖昧記憶。
ここで一個ポイントがあり、通常のチョコレイト・ディスコから振付が若干変更されています。
「対決の日が来た」で3人が向き合うのが普通なのですが、スペースの都合上なのか、客席に向かって指を差すように変更されています(下の画像は通常時。3人が向き合っていますね)。
そして1番のサビでセットが回転し、3人はそれぞれ小部屋へ登っていきます。
ラスサビまでそのまま小部屋で踊った後、降りてきて最後エンドステージで「ディスコ」を決めて楽曲を終えます。
ツアー初期のP.T.A.後セット転換曲は、ワンルーム・ディスコやナチュラルに恋してがなく、このチョコレイト・ディスコのみで担っていましたね。
後半はチョコレイト・ディスコでセット転換→ワンルーム・ディスコが来る!と思われてる方もいらっしゃいましたが、そんなことはありません。
【パターンA差分まとめ】
・バージョン:③2012-Mixベース(アウトロのみオリジナル)
・始まりのセンター立ち位置:あ~ちゃん
・セットの回転タイミング:1番サビ
・「対決の日が来た」:向き合わない
B:ワンルーム・ディスコ準備パターン
〈対象公演:佐賀2?、徳島2、東京1、静岡2、福井1〉
みんな大好きなバージョンですね。
チョコレイト・ディス「コ」と同じタイミングでワンルーム・ディスコのイントロが始まり、チョコレイト・ディスコ終わりのポーズがワンルーム・ディスコのポーズに繋がるアツいやつです。思い出すだけで痺れます。
ワンルーム・ディスコを披露する際は、セット転換曲の役割をチョコレイト・ディスコではなくワンルーム・ディスコが担います。
そのため、ワンルーム・ディスコをセットが転換した状態で始められるよう、チョコレイト・ディスコ終盤のラスサビでセットを先に回転させています。
ラスサビ後に3人が小部屋に登り、登り終えたタイミングでワンルーム・ディスコに繋がります。
なので、このパターンのチョコレイト・ディスコは曲中のほとんどをエンドステージ+背面LEDのセットで披露することになります。
このパターンの場合、楽曲のバージョンは②2012-Mixベース(イントロ・アウトロはオリジナル)になります。例外はありません。
曲の始まりの立ち位置もオリジナル同様、のっちがセンターになります。
「対決の日が来た」でも、3人しっかり向き合っています。
【パターンB差分まとめ】
・バージョン:②2012-Mixベース(イントロ・アウトロはオリジナル)
・始まりのセンター立ち位置:のっち
・セットの回転タイミング:ラスサビ
・「対決の日が来た」:向き合う
ワンルーム・ディスコに繋ぐか否かの判断ポイントについて
基本的には上記のパターンA、パターンBの差分を比較することで、判断が可能です。下記にその差分をまとめます。
「あ、今日は2012-Mixのイントロだからワンルーム・ディスコはやらないね」とか、「対決の日が来たで向き合ってるってことはこの後ワンルーム・ディスコがくるね」というように、立ち位置、楽曲のバージョン、セットの回転タイミングなどから、「今日はワンルーム・ディスコやるねorやらないね」が分かるようになっていました。
特に立ち位置は席によっては曲開始前から見えてしまうので、チョコレイト・ディスコ開始0秒の段階で「今日はあ~ちゃんが中心だからワンルーム・ディスコやらないわ」みたいなことを考えて見ている日もありました。
このことをツアー中にフォロワーの方にちょっと話してたのですが、「(自分まで分かるようになってしまって)責任を取って欲しい」「怖い」だの非難轟々でした。皆さんはこういった点気にならないのでしょうか。気にならないですね。すみません。
詳細なフォーメーションパターンについて
”主要な”パターンは上記2通りに分けることが出来ますが、公演によって実はもっと細かいフォーメーションの差分がありました。
最初に述べた通り、このツアーは”同じ曲なのにその日の位置や前後の曲の関係で、公演ごとにフォーメーションが全く異なる”というのがポイント。上記2パターンのチョコレイト・ディスコを更に細分化し「この日のココが面白かった」「この日のこれがアツかった」というようなことも交えながら、各フォーメーションのパターンをお話していきたいと思います。
パターンC:②2012-Mixベース(イントロ・アウトロはオリジナル)で1番サビセット回転パターン
※パターンA派生
<対象公演:横浜3>
この日はカウントダウンライブということもあり、ライブの構成も他公演と異なっていました。
"SideB" を3曲やってMCに入るところまでは同じですが、P.T.A.のコーナーはやらず、チョコレイト・ディスコ、Spring of Lifeの2曲をやってから、P.T.A.のコーナー+年越しという流れでした。
チョコレイト・ディスコでセットが回転するのは、③2012-Mixベース(アウトロのみオリジナル)が基本です。
ですがこの日に限り、あ~ちゃんがMCで「チョコレイト?」煽りをして、そのまま②イントロがオリジナルのバージョンに入っていくパターンでした(セットの転換も1番で実施)。
パターンAだけどイントロがオリジナル版だったという表現が分かりやすいかと思います。
音無しで「チョコレイト?」煽りをするの、昔のライブではよくありましたが、最近滅多になかったので、久しぶりに聞けて嬉しかったです。
この曲の配置についてフォロワーが「P.T.A.のコーナーより前にこの曲を置いて、チョコレイト?の煽りだけでチョコレイト・ディスコに入っていくの、ファンクラブ会員への信頼でしかない」と言っていて、まじでその通りだなと思いました。
P.T.A.のコーナーより前にチョコレイト・ディスコをやることなんて、まずないですからね。
パターンD:セット無転換+センターステージで終了パターン
<対象公演:静岡1>
セットが一切回転しない日もありました。
これは、その日にナチュラルに恋してを披露していると、他の曲ではセットが回転しないという傾向が当初ありました。
静岡1がこれに当てはまっており、セットが曲中に一切回転せず、ひたすらLEDをバックにエンドステージのみでチョコレイト・ディスコをやる唯一の日でした。曲のバージョンは③です。
今ツアーのナチュラルに恋してはMV再現が最大の肝なので、セットの転換が必須。
そうするとセット回転の優先度が低くなるチョコレイト・ディスコは、セット転換無しで披露することになります。
また、この日はSide B-7曲目だったので、ラストMCのためにラスサビから花道を歩き出し、センターステージで楽曲を終えた日でした。
パターンE:パターンA+出島で終了パターン
<対象公演:大阪1>
これは記憶が定かではないのですが、チョコレイト・ディスコの次曲がハテナビトだったため、チョコレイト・ディスコは出島で楽曲を終えているに違いない、というやつです。
ハテナビトは出島に3人が散った状態からスタートするので、前の曲は必然的に出島で終えてなければなりません。
ラスサビ終わりから出島へ移動し、最後は出島で終わっているはず。。。というのが大阪1の曖昧記憶です。すみません。
パターンF:セット無転換+出島で終了パターン
<対象公演:福井2>
静岡1のパターンD同様、ナチュラルに恋しての影響でセット転換がなかった日です。
ただ、この日はエンドステージで終わりではなく、1番終わりから3人それぞれ出島に移動して、そのまま出島で曲を終えた唯一の日でした。
私はこの日センターステージが近く、チョコレイト・ディスコではかしゆかが近くに来ていました。ラスサビのダンスは、4小節ごとにあ→の→かの順にズレて振付に入っていくのですが、かしゆかだけ見ていると「あれ、全然かしゆか動かない」ってなって面白かったです(かしゆかはそれで合っているので正解です)。
少し話は脱線しますが、次曲のナチュラルに恋してのイントロで、またエンドステージに歩いて戻っていくのが良かったですね。MV再現曲なので、ちょうど「3人が映像の中に吸い込まれていく~」みたいな感じに見えて面白かったです。個人的No.1ナチュラルに恋して入りのフォーメーションでした。
パターンG:ハンドマイク→ヘッドセットへ曲中変更パターン ※パターンA派生
<対象公演:北海道1>
これをパターンとして枠を立てるべきか迷ったのですが、Perfumeライブ全体で見てもこれまでにない特殊な例だったので、取り上げさせていただきます。
基本的にはパターンAと同様のステージ転換があるものですが、特筆すべきポイントはマイクです。
この日、チョコレイト・ディスコの前はハンドマイク曲、後はヘッドセット曲でした。
Perfumeの振付は、・ハンドマイクを持って披露することを考えられている曲、・ヘッドセットで踊ることが前提になっている曲、・ハンド・ヘッド両対応の曲があります。
なので、曲が終わるごとにマイクを置いて次の曲にいったり、マイクを持って次の曲をやったり、ということが常に発生しています。
ハンド・ヘッド両対応曲はその日の前後の曲に合わせて、マイクの持ち換えの手間を少なくなるように、ヘッドorハンドを選んでやっていると考えられています(前がハンドならチョコレイト・ディスコもハンド、みたいな)。
この日は、前のパーフェクトスター・パーフェクトスタイルは基本ハンドマイクの曲、後ろのMiracle Workerはヘッドセットの曲です。
間に挟まれたチョコレイト・ディスコはヘッド・ハンドのどちらだったかという話ですが、なんとこの日は1番終わりまでハンドで、曲中の転換したセットに登るタイミングでハンドマイクを置き、後半はヘッドで披露するという、曲中でマイクが変わる今までにない形態でした。
前後でのスムーズさを追求した結果で、たかがマイクを置いたかどうかの話ではありますが、これかなり凄いことだと思います。
リハーサルはライブ当日の短い時間で恐らくやっているわけで、しかもその日だけのセットリストです。
ただでさえ曲順が毎日違って、その分の移動も毎日違って、頭も時間も一杯になりそうな中、「ここでマイクを置いたらスムーズになるんじゃないか」と考えられる視野の広さ、そして本番で誰一人マイクを置き忘れることなく平然とやってのけるの、マジでヤバくないですか?
チョコレイト・ディスコなんてもう散々踊りは染みついてるだろうに、変化を柔軟に受け入れて”自分たちが一番カッコいいと思うもの”を追求していくその姿勢、もう言葉が出ません。
「リハーサルはほぼ立ち位置の確認で終わる」みたいなことを以前発言していた記憶ですが、それにしても、ですよ。
忘れられないパターンとして、ここに書き残させて頂きました。
詳細なフォーメーションパターンまとめ
では、フォーメーションパターンをまとめさせていただきます。
どうでしょうか。チョコレイト・ディスコだけでこの差分の量。
メンバーもスタッフも本当にどうなってるんでしょうか。意味が分かりません。
今回は1曲にピックアップしていますが、他の曲も含めたら、日々の公演でとんでもないパターンが生み出されていることになります。
大事なことは、どんなパターンであっても一貫して「その日一番良いものを届けたい」という3人の想いを基に作られていることは間違いないということです。
あくなき究極のアップデート
このツアー、毎日セットリストを変えるという挑戦的な試みに対して、スタッフへの感謝を3人は何度も口にしていました。
それはもちろんのことですが、ステージに立ってるのは3人だけ。
もし、誰か一人がマイクを持ち忘れ・置き忘れたまま次の曲が始まってしまったら・・・
今までも、ツアーが進むに連れてアップデートを繰り返しているなというのは、一人の観客として、気付く範囲で沢山ありました。
今回のツアーはセットリストも公演が進むにつれて「この曲はこっちに置いた方が良いんじゃないか」という、より良いセットリストにするための試行錯誤が手に取るように分かったし、実際ツアーの前半と後半で、組まれた楽曲の流れが全く異なる出来になっていたと思います。
ツアー後半は出島に移動する曲もどんどん増えていって、これも「もっとみんなの近くに行くには」を沢山考えた結果なんだろうと思います。
私が今回このブログを書いたのは、これらのフォーメーションすべてが映像記録として残ることはないだろうから、せめて記憶の書き出しとしても残しておきたい、という動機がありました。
この記事を書こうと思ったもう一つの理由は、「こういうことを当たり前にやってのけてしまうおれたちのPerfume、凄すぎないか?」ということを残していきたい・もっと広めていきたいという想いもありました。
Perfumeのライブに行き初めてもう長いですが、今回のツアー、私はこれまでのツアーで本当に一番楽しかったです。
結成25周年で今が一番楽しいと思えるグループを、今リアルタイムで追いかけられていること、本当に幸せだと思っています。
9月にはPerfume 4度目の東京ドームライブがあります。
5年前、もう東京ドームは最後かもしれないと思っていた自分もいたので、今回の東京ドームは素直に嬉しいです。お祭りです。
止まることなく、走り進み進み進み続けるPerfumeの背中を、これからも可能な限り、追いかけていきたいと、改めて強く感じたツアーでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※ご意見等ございましたらご連絡いただけますと幸いです。修正大歓迎です。